租税回避地のあり方に関する枠組みの議論も始めるときだ。

今回の情報公開を、租税回避地への国際監視体制を早期に築く契機とすべきだ。
公開されたペーパーカンパニーに関する情報は南ドイツ新聞がパナマの法律事務所から入手した文書を、ICIJがデータベース化したものだ。
データベースが公表される前から、一部政治家の関与は表面化 していた。
夫妻で資産隠しを指摘されたアイスランドの首相は辞任に追い込まれた。
英国ではキャメロン首相が亡父の設立したファンドに出資していたことが分かり、説明も不十分だったため、抗議デモに発展した。
国民に納税を促す立場の政治家が違法と疑われかねない行為と一線を画し、厳しい説明責任を果たすのは当然のことだ。
そのうえで、不透明な課税逃れを封じるための国際協調を政治主導で加速させるべきだ。
100前後の国・地域が非居住者の銀行口座の情報を自動的に交換する取り組みが、2017年から始まる。
今回の問題の震源地だったパナマが、国際的な批判の高まりを受け、最近になって情報交換に参加する方針に転じたことはひとまず前進だ。
今後の焦点としては、ペーパー カンパニーの透明度を高める施策が挙げられる。
米政府は企業を対象に、ペーパーカンパニーの実質所有者の報告を義務づける法改正案を打ち出した。
独仏英など欧州5カ国も実質所有者の情報を共有するルールを提案している。
各国の個別対応ではおのずと限界がある。
日本は自らも国内対策を急ぐとともに、主要7カ国の議長国として国際協調を主導すべきだ。
中国をはじめとする新興国も巻き込み、租税回避地のあり方に関する枠組みの議論も始めるときだ。